春日部観光!地下神殿【首都圏外郭放水路】と地底探検ミュージアム【龍Q館】(最寄り駅:南桜井駅)

地下神殿施設
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【2022/10/21 更新】

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概要

春日部での観光施設として一番目に思い浮かぶのは、「首都圏外郭放水路」ではないでしょうか!?

この施設は、1993年3月着工で、2006年6月に完成したもので、13年の歳月が費やされました
日本が世界にほこる最先端の土木技術を駆使した、世界でも最大級の地下放水路とのことです。

「地下神殿」とも呼ばれて、映画やドラマなどでも登場しています。
「翔んで埼玉」でもラストシーンに登場してましたね。

翔んで埼玉①
翔んで埼玉①
翔んで埼玉②
翔んで埼玉②

地下22mの位置に作られた巨大な空間に、59本もの巨大な柱が立ち並ぶ姿は、ギリシャのパルテノン神殿や、エジプトのカルナック神殿のようです。

ギリシャ パルテノン神殿
ギリシャ パルテノン神殿
エジプト カルナック神殿
エジプト カルナック神殿

実際に地下神殿の中に入ってみると、異空間を味わえます。
下記サイトから事前に予約することで、ガイド付きでの見学ができます。
急な階段の上り下りがあるため、参加できるのは小学生以上からという制限がありますので、ご注意ください。

見学コース内容容については、本記事の下の方でも記載しています。

首都圏外郭放水路 予約サイト

https://reserva.be/guidetour

地下神殿ツアーの様子は、下記の記事を参考にして下さい。

地下神殿をモチーフにした藤うどんが食べられる「めん房 朝日屋」については、下記記事にて紹介しています。

施設について

こちらの施設が紹介されるとき、「首都圏外郭放水路」「地下神殿」「龍Q館」「排水機場」などと、様々な呼ばれ方があって、よく分からなくないですか!?
まずは、施設の概要や仕組みを紹介しつつ、施設の名称について整理していきたいと思います。

実は、キッズ向けに開設されたサイトがあって、そちらがものすごく分かりやすいんです。
一般向けサイトの説明を読んでも、いまいちイメージがつかめないものが、スッキリ理解できます。
本記事では、キッズ向けのサイトに掲載されていた図をベースに、施設の説明させていただきます。

首都圏外郭放水路 キッズページ

https://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa_index049.html

なぜ造られたのか

地形

江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路 施設概要より引用

上図は、春日部を流れる川周辺の地形断面図です。
見ていただくとわかりますが、ピンクのところの地形が他の場所に比べて、お皿のように低くなっています
この部分には、5本の川が流れていて、お皿の外側に利根川・江戸川・荒川の大河川があります。
「低いところを流れている&川幅が狭い=当然、大雨が降ると氾濫」です。
たびたび発生していた、川の氾濫による洪水被害の解決に向けて建造されたのが、「首都圏外郭放水路」です。

役割

江戸川へ

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

「首都圏外郭放水路」の役割は、大雨で、「大落古利根川」「幸松川」「倉松川」「中川」「第18号水路」が氾濫しそうになった時、あふれそうになった川の水を、まだ水を流す余力のある「江戸川」に送ることで、川の氾濫を防ぐことです。

実は、最近だと令和元年の台風19号で記録的な大雨が降りましたが、江戸川も、このような状態になりました。

江戸川
氾濫寸前の江戸川

安全が確認できてから様子を見に行った時の画像なので、実際には、もっと高いところまで水が来ていたはずです。
他の川の氾濫を防ぐため、江戸川を氾濫させてしまっては元も子もないので、操作室の方も、江戸川に送る水量をコントロールするのに、気が気ではなかったとのことです。

仕組み

立坑

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

各河川には、一定量の水位を超えた川の水を流入される施設として「立杭」があります。
「りっくい」ではなく、「たてこう」と読みます。

立坑の大きさは、スペースシャトル(55m)や浅草寺五重塔(53m)、自由の女神(46m)がすっぽり入ってしまうほどの大きさだそうです。

立坑の大きさ

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

各川の水位が一定量に達した際には、立坑に水を流入させます。
立坑に流入した水は、地下のトンネルを通って、まずは第一立坑まで到達します

水の流入
水の流入

第一立坑まで達した水は、じわじわと水位を上げていって、調圧水槽がある高さまで到すると、横穴から調圧水槽(いわゆる「地下神殿」のこと)に水が流れ込みます。

流入経路
流入経路

調圧水槽にたまった水は、排水機場にあるプロペラで水をくみ上げて、排水樋管から水を江戸川に流します。
樋管は、下の写真の通り、6つあります。
そんなに大きくないように見えますが、ひとつの大きさで、横5.4m、縦4.2mあって、JR山手線の車両がらくらく収まるほど大きさです。

排水樋管
排水樋管

立坑・トンネル

立坑の役割

立坑は、水を一時的にためるだけではありません。
工事中:トンネル工事を行うための重機搬入口
完成後:管理車両の搬入や換気設備の取り付けなど、放水路の維持管理

としても、利用されているとのことです。

トンネルの作り方

重機搬入

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

立坑を掘って、そこからトンネルを掘る&作る「シールドマシン」を入れます

シールドマシン

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

「シールドマシン」は、穴を掘る作業と、掘った穴に、トンネルの内壁となるセグメントと呼ばれるブロックを円筒状に組み立てる作業を同時に行います。

セグメント

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

セグメントは、中に水が通る時の圧力と、外から押しつぶす土の圧力に耐えられる、非常に頑丈なつくりになっているそうです。

ちなみに、トンネルは、地下50mのところを通っていて、全長約6.3km、内径約10mにもなります。

地下トンネル
地下トンネル

調圧水槽

「調圧水槽」が、いわゆる「地下神殿」と呼ばれる部分になります。

立杭からトンネルと通ってくる水の勢いを弱めて、スムーズな流れになるように調整するための役割を担います。
トンネルを通ってきた、物凄い勢いの水を一旦受け止める必要があるため、巨大な柱が必要だったんですね。

調圧水槽スペック

首都圏外郭放水路 キッズページより引用

調圧水槽のスペックです。

  • 広さ 長さ177m、幅78m = サッカーグラウンドの約2倍
  • 高さ 25.4m
  • 柱1本の大きさ 奥行き7m、幅2m、高さ18m
  • 柱1本の重さ 約500トン
  • 柱の本数 59本

排水機場(龍Q館)

排水機場
排水機場

地上に見えているこの建物、「庄和排水機場」の文字があります。
この建物は、「排水機場」+「龍Q館」の役割があります。

排水機場としての役割

排水機場としての役割は2つです。

  • 調圧水槽から巨大ポンプ・排水樋管を通して江戸川に排水する
  • 操作室で、各流入施設の操作や集中管理を行って、水の流れを安全に制御する
排水機場断面図
排水機場断面図

調圧水槽から水をくみ上げて、江戸川に排水するための「ポンプ設備」としては、「原動機」と呼ばれる動力と「インペラ」と呼ばれる固いステンレスの羽で構成されています。

ポンプ設備
ポンプ設備
原動機
原動機
インペラ
インペラ

「原動機※」「インペラ」を高速回転させて、水をくみ上げ(14mの高さ)、排水樋管を通して、水を江戸川に排水します。

※原動機
航空機用に開発されたガスタービンを改造したもの。
ガスタービンが燃料を燃やして強い風力を作り出す。(14,000馬力で、国内最大級の設備)

庄和排水機場の地下には、この巨大ポンプが4台設置されています。
排水量は、1台につき、1秒間に50立方メートル。
4台あるので、1秒間に200立方メートル。
これって、小学校の25mプールが1秒間で満タンにできちゃうってことだそうです。

汚泥の掃除

調圧水槽まで到達する水は、大雨で洪水になった時の川の水なので、泥水です。
水を江戸川に排水した後、調圧水槽には、汚泥が残ります。
この汚泥は、上部にある開口部から、クレーンで吊って降ろしたブルドーザーで除去するんだそうです。

開口部
開口部
ブルドーザー搬入
ブルドーザー搬入
汚泥除去
汚泥除去

ちなみに、観光エリアは、最終的に、人の手で掃除するそうですよ。

龍Q館としての役割

「龍Q館」の役割は、首都圏外郭放水路の原理を学ぶための「地底探検ミュージアム」です。

施設名称について整理

一通り、施設の役割・機能を整理できたところで、名称の確認です。

「首都圏外郭放水路」
各河川からの水を取り入れるための「流入施設」&「立坑」、各河川からの水が通る地下50mにある「トンネル」、水の勢いを弱めてスムーズな流れを確保する「調圧水槽」、江戸川に水を排水する「排水機場」の設備総称

「地下神殿」
首都圏外郭放水路を構成する施設の機能の一部である「調圧水槽」のこと。

「排水機場」
首都圏外郭放水路を構成する施設の機能の一部である水を江戸川に排水する設備を有する建物のこと。

「龍Q館」
首都圏外郭放水路の原理を学ぶためのミュージアムのこと。
排水機場内にある施設の一部。

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